ここに来るのは3回目だった。
以前に2回来た時には休館日だったり
閉館する時間だったりして、
外から眺めるだけで内部を見ることはできなかった。
今年のお盆休みはどこにも行かないでおとなしく…と思ってはいたが、やはり
どこにも行かないのは身体に悪い!と自分で自分に言い訳して、
最近お気に入りの三国から加賀まで出かけることにした。
大聖寺の街中に
深田久弥「山の文化館」という風情のある建物がある。
門の向こうには大きな木が何本も連なっていて、
それだけでもこの場所にはある種のエネルギーが満ちている気がした。
立派な門をくぐると眼前にそびえ立つ銀杏の大木が迎えてくれる。
右側には樹齢350年とも言われるタブの巨木、
樹齢700年のスダジイの巨木があって、見るものを圧倒する。
建物は築100年ほどの木造建築で、もとは繊維会社だった。
この時代に流行った洋風建築様式をあちこちに見ることができる。
この入り口に佇むだけで、大正時代にタイムスリップしたような気になる。
床の象嵌や柱などの装飾、照明、天井の作りなどの
手の込んだ仕事が実に見事だ。
この時代の職人の技を感じることが出来る。
入り口で入館料300円を払う。
この建物を管理している団体の事務局長さんが自ら、
庭の木の説明や、建物のこと、そして深田久弥のことなどを
実に詳細に渡って説明をしてくださった。
いろんな質問をしたが、すべて明確な答えが返ってくることも、
お話をしていて、とても勉強になった。
建物右手奥には深田久弥が愛用していた登山用品や、
初版本や原稿、年表などが展示されている。
図書室も完備され、山の本を中心に多くの蔵書が揃えられている。
談話室となっていた二階にも上がらせていただいたのだが、
大きな和室が3間続くとても広いスペースとなっていた。
和室は立って見える世界と座って見える世界では、
まったく別のものとなる。
立って歩くと鴨居が低いのが気になるのだが、
座るとちょうどいい高さに見える。
部屋の一番奥のど真ん中に座って正面を見れば、
畳、天井、鴨居、左側の窓が全部計算しつくされている。
手前の長方形の世界が少し向こうに行けば、縮小された長方形の世界、
さらに向こうに行くと、さらに小さな長方形になっていくのだ。
左側の窓の高さも低いように感じたが、
畳に座ってみて、窓の外を眺めるには、
もっともいい高さになっている。
銀杏の大木を上から覗くと下から見たそれとでは
また違った趣きがある。
また建物左手には別棟の茶室があり、
そこがカフェとなっている。
この日はデジタルカメラで撮った画像を、
コンピュータの画像処理ソフトで水彩画風に作った
写真展が開かれていた。
大木に囲まれた気持ちのいい場所に、
テーブルが置かれ、外でお茶をすることもできる。
もちろんたつやはこの場所で。
実に素晴らしい建物と文化的資料が揃い、
抜群の環境に囲まれ、しかも親切なスタッフによって運営されている
深田久弥山の文化館。
しかしながら、この日はお盆休みにも関わらず、
訪れる人は少ないのは実に残念に思えました。
是非、おすすめしたいスポットです。深田久弥1903年、石川県江沼郡大聖寺町(いまの加賀市内)に生まれた。
1971年、山梨県の茅ケ岳山頂近くの尾根で、脳卒中のため急逝。
68年の生涯だった。本光寺にある墓の裏面に、「読み、歩き、書いた」
と刻まれている通り、歩きに歩いた人生だった。
スタンダールの墓碑銘「生き、書き、愛した」にちなんでいるのは、
久弥が生涯スタンダールを敬慕していたからだ。
世俗を嫌悪し精神の高さを求めて生きるという心を共有した。
久弥の「山」は、内なる精神を世俗から解き放つ場であった。
精神の開放の場として山々を歩いた。
戦前、鎌倉文士時代に小林秀雄を誘って雪山に入っていたのも、その一端だ。
戦後は小説よりも山の文章を多く書いた。
読売文学賞を受けた『日本百名山』をはじめとする山の文学は
日本文学史に独自の地歩を築いている。なかでも故郷の山、
白山を描いている幾多の文章は山の文学の白眉である。
山の文化館館長 高田宏
(深田久弥山の文化館ホープページより)深田久弥・山の文化館石川県加賀市大聖寺番場町18番地2
TEL0761-72-3313
FAX0761-72-1181
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:火曜日(祝日は開館)・年末年始(12/30〜1/1)
入館料
・一般 300円
・高齢者(75歳以上)150円
・団体(20名以上)250円
・高校生以下及び障害者の方 無料http://www1.kagacable.ne.jp/~yama/人気blogランキングへココをクリックたくさんの方に応援いただいて、ずっと上位にさせていただいています。
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posted by たつたつ・たつや at 22:10| ☁|
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