この文章は2001年2月に書いたものです。
あれからもう、5年が経ってしまいました。
その間、香川へのうどん旅行は10回以上。
しかも、家族を連れて行くうちに、娘が香川の大学に行きたいと
言い出す始末・・・。
種を蒔いたのは、たつやだから仕方がないのだけど。
結局、娘は香川の短大に入学し、2年間を香川で過ごしました。
引越しや、娘の会いに行くという理由で、何回も行く機会に
恵まれ、その度ごとにいろんなうどんやさんめぐりをしたものです。
当時はカメラを持っていましたが、データをなくしてしまいました。
写真がないとつまらないと思って、その後に撮ったうどんの写真を
数点入れながら、掲載してみようと思います。
このときは記念すべきさぬきうどん初体験で、
感動して、ものすごい字数のレポートを書いて、友人たちに
メールで送ったものです。
5年も前の出来事ですが、昨日のことのように
鮮明に思い出すことができます。
本当に長い文章なので、数回に分けて掲載してみたいと思います。
香川のうどんを食べに行ってみようという人には参考になるかも^^
人類は麺類という言葉があったかどうかは知らないが、
大の麺通としては、一度、讃岐のうどんを食べなくてはいけないと
思いつつ、10年を過ぎてしまった。
学生時代、まだ、YAMAHAのSR400という単気筒のバイクに
乗ってた頃、九州、四国とツーリングをしたときに一度だけ、
讃岐うどんなるものを食べた記憶がある。
国道沿いの普通のうどん屋だったけど、釜あげうどんを食べて、
妙にこしがあって、うまかったと記憶している。
僕は福井生まれの福井育ちだから、
そばかうどんかといえば何があっても「そば」しか食わない。
福井にはそば専門店はあってもうどん専門店は皆無だと思う。
確か、数年前に大手のうどん専門店がここ鯖江にもできたが、
わずか1年も経たないうちに閉店を余儀なくされた。
それくらい、僕をはじめとする福井県人はそば人間なのだと思う。
そんな僕がふと、うどんを食べてみたくなる出来事があった。
それは、友人が貸してくれた1冊の文庫本だった。
村上春樹の旅についてのエッセイで、
その1編に讃岐うどんを取材したときのものがあった。
それを読んだ僕は本当にこんな店があるのだろうか?という驚きや、
そのうどんの奥深さにひかれ、
香川に行きたいという思いは日増しに強くなっていった。
前置きが長くなったが、
この連休に純粋にうどんだけを食べに四国は香川県へ行った。
2月9日、金曜日の深夜12時40分の、本を貸してくれた友人Yと
霙まじりの鯖江を出発した。
北陸自動車道、名神高速道路、阪神高速を経由して、
神戸から明石海峡大橋を通り、淡路島へ。
夜中の高速道路なので、渋滞に巻き込まれることもなく、
4時半には鳴門海峡の手前のサービスエリアに到着し、2時間弱の仮眠をとった。
まだ、完成して年月の経っていない神戸淡路鳴門自動車道はきれいだったが料金も驚きで、
神戸・鳴門間が89キロしかないのに、6050円!ぼったくりやんか!
フェリーがこれくらいだったから、それに合わせての料金設定にしてあるのではと推察する。
納得いかなーいとひとりで怒っていたが、
料金所のおっちゃんに文句もいえずに四国に到着した。
ただ、唯一の良かったことは、鳴門海峡大橋の上から、渦潮を見れたこと。
早朝だったので、超のろのろ運転で走りながら、
眼下に広がる海と本当に渦巻いている海峡を見ることができた。
このときだけはかわいそうだとは思いながらも、熟睡してたYも起こした。
ちなみに、橋の上は全て駐停車禁止である。(どこでもそうだよね)
香川県は大きく3つに分けられ、県庁所在地高松を含むのが西のエリア。
丸亀・坂出を中心とした中エリア。愛媛県よりの東エリア。
(福井で言う、嶺北地方、嶺南地方みたいな名前があるらしいが忘れた)
700軒(今は850軒とも言われている)あるといううどんやは県内いたるところにあるが、
わずか1日半で回れる店はせいぜい7〜8軒。
行き当たりばったりもいいが、どうせならうまい店がいいに決まっている。
幸いなことにYの知人でF医科大学の研修生で、
やたらうどんに恋してる男から、有力な情報を得てきた。
彼は幾度となくこの地を訪れ、うどんを食してるとのことなので、
今日はその情報を元に中エリアをまわることにした。
朝一からうどんを食べたい僕ら「うどん食べ隊」は開店時間の早い店を探し、
そこから順番にお目当ての店に行こう!ということで、
このエリアでは一番開店の早い
「がもううどん」へ向かった。
国道11号線から少し、路地を入ったところ、という情報と簡単な地図を頼りに車を走らせる。
大体この辺りだな、・・・でも車1台がやっと通れる道幅しかない。
ちょうどそこへ、自転車に乗ったおじいちゃんが来たので、聞いてみる。
「すみません、このあたりにがもううど・・」
「おっ、うっちゃ、うっちゃ!」
ちょうど、ご主人の出勤とでくわし、長年あこがれてた讃岐うどんとの対面!
開店20分も前なのに、すでに3人の客が来ていた。
メニューは、っと。
エッ?ほんまかいな?うどん100円、大盛り(2玉)180円、てんぷら70円。
信じられないこの価格。(今でもたぶんこの価格
)
もしかしてタイムマシンに乗って昭和30年代に来てしまった?と思える。
しかも、店のつくりはどう見ても昭和初期。
中はうどんを茹でる大釜と麺をつくる機械があって、客席は6人程度。
おそるおそる注文をする。
後からわかったことだが、あったかく食べる(ヌクイノ)と冷たく食べる(ツメタイノ)の他、
だしをかけて食べるのか、醤油をかけて食べるのか、
はたまた釜揚げで食べるのか、とにかくいろんな食べ方があるのだ。
恐るべし、讃岐うどん!初めての本場の讃岐うどんだから、ヌクイノで、だし、大盛り、てんぷら入りをオーダー、
しかし、どんぶりにあたたかいうどんを2玉入れたものが出てくる。
まわりの人を見てたら、湯気があがってるなべからおたまで勝手にだしを入れている。
あ、そうか。あとはセルフサービスなんだ。
てんぷらは何種類もあって、均一70円。僕は、げそてんぷら。
Yはふつうのうどんにきつね。
いただきまーす。
あったかいうどんは思ったほどかたくないが、つるりとすべる感触がとてもいい。
てんぷらの衣がだしつゆに溶けて、これがまたウマイ。
その間にも次々とお客さんがくるが、なぜか常連っぽい人は外の藤?棚の下や、
店の前の広場でもくもくと食べている。
「おいくらですか?」
「何を食べたん?」
「あ、えっと大と普通、それにてんぷらときつね、です」
「400と20円です」
おおー、感動さえするこの価格!会計は全て自己申告なのだ。
おっ、もしかしててんぷらを3つ食って、
てんぷら2つですって言ってもいいんかいな?などと考える僕はやらしいな。
続く