高校受験が終わり、
中学の自分の卒業式を早退して、
福井駅から青森行特急『白鳥』に乗った。
生まれて初めて行く北海道に、
わくわくしていた。
SLダイヤ情報を隅から隅まで読みあさり、
行ったことのない北海道の地図と
蒸気機関車が走っている路線図、
そして撮影ポイントはすべて頭に入っていた。
受験勉強という名の、
夜遅くまで部屋にこもる時間は
たつやにとって、誰にも邪魔されずに
ずっとこの情報誌を読んでいた。
蒸気機関車の写真を撮りに出かける旅は、
それまでに何度か一人で出かけていたが、
北海道を丸々2週間旅することは、
多少不安があったかもしれないが、
それよりも蒸気機関車の天国だった
憧れの北海道に行けるワクワク感の方が、
何十倍も何百倍も上回っていた。
この旅行に出る1週間ほど前に、
父がこんなことをたつやに言ってくれた。
「いい写真を撮るためには、いい機材が必要や。
これ使うといい」
手には箱に入った新品の一眼レフカメラと、
135mmの望遠レンズを持っていた。
ASAHI PENTAX SP-F
本格的一眼レフカメラと
専用の望遠レンズだった。
もちろん当時はアナログカメラで、
ピントは手で合わせなければならないし、
露出とシャッタースピードも
自分で設定しなければならない。
そして当たり前だが、
モノクロフィルムかカラーフィルムを買って、
カメラにセットしなければならなかった。
フィルムはやはり父が買ってくれたが、
まだカラーフィルムは高価だったこともあり、
メインはモノクロフィルムを使っていた。
1本36枚撮り。
ようするに1本のフィルムで36枚の写真が撮れる。
モニターなんてないから、
ちゃんと写っているかどうかは、
現像して、紙焼きしてみないとわからない時代。
なんとも不便な時代だったが、
それが何とも言えないドキドキ感と、
現像が出来るまでの間の楽しみでもあった。
近所にある恵美写真館へ
北海道で撮ったフィルムを現像に出して、
出来上がるまでの10日間は
待ち遠しくて、それこそ指折り数えて待っていた。
あれから45年。
先日、家の中を片付けていたら、
高校2年生の学校祭で、、
友人と二人で開催した写真展で展示した
1974年3月に北海道で撮影した
たつやの写真のパネルが出てきた。
懐かしい写真・・・。
もう色あせて、写真の一部は破れている。
裏を見て思い出した。
このパネルは家にあった板切れを使って
自作したものだ。
その額に水にぬらした印画紙を貼って、
四方をホチキス止めし、
その上から、印刷屋で伝票に使う
黒のクロスを貼ってそれっぽく仕上げた。
どうしようか迷った。
捨てようかと思ったが、燃やすことにした。
せめて燃やす前にカメラでデジタル保存。
しばらくその額を眺めていたら、
その当時のことをいろいろ思い出した。
7年前に亡くなった父が
いかにたつやを愛していてくれたのか・・・
言葉にすることはなかったけれど、
何をするにしても黙って応援してくれたなぁ。
今日はお彼岸。
あらためてご先祖や父に感謝です。
おとうさん、ありがとう!
やっぱりたくさんの方にブログを見ていただきたくなりました。
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