行ける場所は限られているが、
東京に残されている古い西洋建築を見たいと思っていた。
旧岩崎邸に続いて、行ってみたのは、渋谷からほど近い
旧前田侯爵家駒場本邸だ。
この旧前田邸は、たつやが38年ほど前に住んでいた
世田谷のアパートから、そんなに遠くないところだった。
それに時折、遊びに行っていた下北沢や渋谷の真ん中にあるのだ。
一番近い駅は、井の頭線の駒場東大前駅。
駅を降りて、最初にあった品の良さそうなおばあさんに
旧前田邸の場所を聞いた。
おばあさんは、とても親切で、道順を丁寧に教えてくれた。
言われた通り、静かな住宅街を歩いて行くと、公園への入口が見えた。
まるで森の中のような公園を歩くと、
シンボルのような大木があって、
その奥には、広い芝生広場が広がっていた。
え?ここホントに都心のど真ん中なの?
まるで異次元の世界に入り込んでしまったような感覚にさえ思えた。
散歩をしている人が2人。
ベンチに座っているカップルが一組。
この緑豊かな公園なのに、ほとんど人がいない・・・。
聞こえてくるのは鳥の声。
芝生広場は大きな円形をしている。
その中心に立ってみると、何故か特別の場所のような感じがした。
空が広い!
宇宙と交信出来るなら、こんなところなのではないだろうか・・・
普通、都心の中の公園だと、
遠くにビルが見えたりするのだが、ここはまったく見えない。
あぁ、なんていいところなんだろう。
芝生広場を抜けると、右手に旧前田侯爵邸が見えた。
旧前田侯爵家駒場本邸は、旧加賀藩主の16代当主であった
前田俊為(としなり)侯爵が、本邸として建設した建物。
行く前に管理している東京都教育委員会のホームページで調べてみると、
旧前田家本邸洋館は保存整備工事のため、
平成28年7月1日から平成30年9月末(予定)まで休館いたします。
と書いてあったが、訪れた日は10月10日だったので、
もう公開しているだろうと思っていた。
しかしながら、工事中のまま・・・
いかにもお役所仕事。。。
せめてリアルタイムで発信出来るホームページなら、
工事が伸びていて、まだ公開出来ないと記載しておいて欲しい。
仕方がないので、外観だけを見るしかなかった。
ホームページより抜粋。
この建物は、旧加賀百万石前田家の第16代当主前田利為(としなり)の本邸として
昭和4年(1929)に欧州建築の粋を集めて建築され、
当時東洋一の邸宅と称せられました。
当時、東京帝国大学教授であった塚本靖と、
宮内省の担当技師であった高橋貞太郎が設計を担当し、
駒場の田園の野趣にあわせたイギリスのチューダー様式を取り入れています。
チューダー様式は、イギリス後期のゴシック様式を簡略化したもので、
玄関ポーチの扁平アーチにその特徴をみせています。
外壁には、当時流行したスクラッチタイルを貼り、
落ち着いた雰囲気を漂わせています。
また、内部は一変して王朝風に装飾が施され、
各室はイタリア産大理石によるマントルピースや角柱、
壁にはフランス産絹織物や壁紙を貼り、
イギリス家具などを配したヨーロッパ調ですが、こうした洋風の室内に
日本の伝統的な唐草やひな菊をあしらった文様なども見られます。
中を見ることが出来なくて、気落ちしていたたつやだが、
その裏手に回ってみると、旧前田邸の和館が無料公開していた。
大きな立派な和室があり、一番奥が日本庭園となっている。
たつやはこの家の主が座ったであろう一番大きな部屋の
床の間を背に、座ってみた。
座って撮影した一枚がこの写真。
畳、天井、襖がものの見事に空間の広がりを演出している。
庭には川が流れていて、
聞こえてくるのは水の音と、鳥の声だけだ。
しばしこの縁側に座ってみると、
不思議と時間の感覚がずれてしまうようで、
今がいつの時代なのか?ここは何処なのか?
と自問自答した。
旧前田侯爵家駒場本邸
東京都目黒区駒場4-3-55
電話:03-3466-5150
最寄駅:駒場東大前
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