滋賀県が好きな理由のひとつに歴史や文化だけでなく、
古い街並みがたくさん残されていて、
それがあまり違和感なく新しい街に溶け込んでいることがある。
たつやの好きな風景は最近になって明確になってきたのだが、
キーワードは昭和を五感で感じる、ということだったのだ。
八日市の街を散策するのは二度目。
駅前の昔ながらの商店街を抜け、
感性のアンテナに任せて右に左に路地を歩く。
どうも昭和の匂いが強くなる方向へ導かれるようだ。
古い民家の裏手からお風呂を焚く煙が上がっていたり、
子どもたちがお寺の境内で遊んでいる風景は、
たつやの旅ゴコロを刺激してくれる。
そのうち舗装されていない路地裏に面した古い民家の縁側に
不思議な光景を見つけた。
たくさんの人形が所狭しと並んでいる。
それに床にはカラフルな絵が描かれた自然石が並んでいる。
塀垣越しに出来るだけ近づいてみた。
そのおうちの中からは声が聞こえてきて、
どうやら誰かが遊びに来てるような雰囲気だった。
声をかけてもいいものか、迷ったが
見ず知らずのたつやが尋ねたらやっぱり怪しいよな…
と考え、踵を返した。
数十m歩いてから、
でも今日会えなかったら、もう一生会えないだろうな・・・
という思いが浮かんできた。
旅先だしダメ元だ!とそのおうちに戻った。
こんにちわ〜 ごめんくださ〜い
中からハイという女の人の声と同時におじさんが顔を出した。
あの〜、ちょっと通りかかったら、すごい数の人形が見えて…
良かったら、ちょっと見せてもらってもいいですか?
あ、どうぞどうぞ入ってください。
うちのじいさんがずっと趣味で作ってたんですわ。
普段は一人暮らしですからいつでも遊びに来てください。
と言われても、ちょっと遠いしなぁ…
おじいさんは、御歳93歳!
79歳まで現役で土建関係の仕事をし、
ボケ防止にと始めたのが石のアートやジャンクアート、
それに紙粘土の人形作りなのだそうだ。
差し詰め近江のジャンクアーティスト翁といった感じだ。
家の奥にまで入れていただき、しばらく話を聞かせてもらった。
そして帰り際には、人形数体と石のアートを
記念にどうぞといただいたのだった。
家に連れて帰って、じっくり眺めて見ると、
実にアーティスティックで味わい深くかわいい
近江のアーティスト堤正三さん、ありがとうございました。
いつまでもお元気でご活躍くださいね。
旅は一期一会。
やっぱり旅の醍醐味は出会いです。
だってすごいんだもん。感動!
だってこれ、かわいいよ。
まさに「一期一会」。私にゃできません。
私ってばたつやさんの4分の1しか生きてないっぽいなぁ。
こんなお人形は、邪気のある人には絶対作ることは出来ません。
家には2000体ほどあるんだそうです。
他にも家中がアートなんです。
ちょうどGWで息子さん夫婦が帰っていらっしゃいました。
突然の怪しい?訪問者を温かく迎えてくださって、
本当に感謝しました。
一度街中に戻って、御礼に和菓子を届けたんですよ。
旅での出会いは不思議な縁だと思います。