左手に水色の古い洋風建築が建っている。
これが旧農商務省獣類検疫所神戸支所敦賀出張所で
大正五年に建てられたものだ。
右手は敦賀湾、建物の後ろは広いオートキャンプ場となっていて
GWや夏休みのシーズンにはその管理棟として使用される。
但し老築化がかなり進んでいて屋根の一部が落ちかけている。
現在は東京に本社がある民間企業の所有となっている。
たつやが立ち寄った時は、ちょうどGWだったこともあって、
管理をされている戸代澤さんという方に
お会いすることが出来た。
しかもご親切に、内部を案内して下さったり、
建物の歴史について話を聞かせていただいた。
大正時代から戦前にかけては、
朝鮮半島からたくさんの肉牛がこの港に陸揚げされた。
その牛の検疫をしたのがこの建物。
一階には事務室らしき部屋や獣医さんの部屋が、
二階には大きな会議室が残されている。
二階に上がる階段の手摺やギボシにも、彫刻がなされ、
二階会議室天井中央の照明の土台には
見事な漆喰の装飾が残されている。
天井の四隅にはやはり組木の装飾がなされ、
当時の建築のセンスや技術を垣間見ることが出来る。
しかしながら外から見て屋根の損傷がわかるように、
内部の天井も、歪んで落ちかけてきている。
今までにも幾度となく保存の話が出たことがあるらしいが
敦賀市としては保存の意思がないらしい。
予算がないことがその主な理由とのことだが…。
一民間企業としては、保存は難しいらしく、
このまま朽ち果てるか、取り壊しになることになるのだろうか。
建物の図面を含めて、調査は終わっているので、
行政としてはひとつのピリオドを打った
という認識なのだろうか。
壊すことは簡単だ。
だけど福井県内でも裕福な行政区域なのだから、
予算のやりくりをして保存の方向に進んでもらいたい
と願うのはたつやだけではないはず。
大正時代に作られた桟橋。
ここからトンネルを潜って行くと旧検疫所の建物となる。
今はのんびり釣りを楽しむ人しかいない。
しばし桟橋に佇んでみると、
当時の風景が目の前に浮かんできて、すぐに消えた。
旧農商務省獣類検疫所神戸支所敦賀出張所
(現オートキャンプ場管理棟)
福井県敦賀市縄間(のうま)
仕方の無いことなのでしょうけど、
この建物がこの姿で在る間に、最後に大きな華を。
敦賀といえば、原子力発電所が数箇所あり、
財政的には、きっと他の行政よりも裕福のはずです。
そんなに大きくない予算でできるはず。
そして有効に利用すれば、長い目で見れば、
敦賀の観光として光り輝くと思うのです。
壊すなんてもったいないですよね。
ココも是非、見学したいですね。
このままだと間違いなく近い将来屋根が落下するでしょうね。
その前になんとか応急措置を取って欲しいです。
これはやっぱり行政が動かないと・・・