2007年04月18日

フラメンコ曽根崎心中

その瞬間たつやは思わず立ち上がり出来る限りの拍手を送った。
次々と観客が立ち、万籟の拍手が広がり鳴りやまない。

鯖江でのコンサートや舞台では見たことがない
スタンディングオベーションは最後の最後まで
止むことはなかった。

その年の春に市役所に勤める友人から一本の電話が入った。

近松門左衛門が幼少の頃に鯖江にいたことは有名だが、
その話は近松につながっていた。
阿木燿子プロデュース・音楽、宇崎竜童による
『フラメンコ曽根崎心中』。
主演、鍵田真由美・佐藤浩希

こんな舞台を鯖江でやりたいが、どう思う?

即座に答えた。「やりましょう!絶対やりたい!」

だけど、公演内容や予算のこととなると
困難や苦労は容易に想像できた。

しかし、その年(2005年)の9月に実行委員会や行政、市民が
様々なカタチで協力することにより、
一地方都市では珍しく鯖江市での実現に漕ぎ着けたのだった。
もちろん、公演は大盛況・大成功だった。

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フラメンコ曽根崎心中は2001年に初演され、
2004年にフラメンコの聖地スペイン・ヘレスで行われた
『フェスティバル・デ・ヘレス』に出演した。
当初、スペイン人からの反応は
「日本人は器用にフラメンコを踊るね、だけどハートが違うよ」とか
「流れてる血が違うよ、まっ、見てみたい気もするけどね」
というようなものだった。

しかし、公演を終えた後には、
涙を流しスタンディングオベーションを
繰り返す観客たちでいっぱいになった。

「信じられない、こんなフラメンコがあったのか!?」

「日本人にしか表現できない愛の世界!本当に感動した」

初ステージの後は、毎日のようにヘレスの新聞や
スペインのマスコミの取材が殺到したのだった。

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曽根崎心中は、江戸時代に初演され、瞬く間に人気を博し、
連日連夜超満員だった。
しかしながら、その年には実際に心中する事件が続発した。
そのため幕府は曽根崎心中の公演を禁止し、
それは昭和の初期まで続いたらしい。
それほどまでに曽根崎心中は日本人の心を
捕えてしまうということなのだろう。

曽根崎心中の簡単なストーリーはこうだ。

18世紀初頭に起こった、哀しく激しい愛の物語。
18世紀のはじめ、大阪の曽根崎に、
叔父の経営する醤油屋に勤める徳兵衛と
天満屋に身を置く遊女・お初という、恋人同士がいた。
二人は、将来結婚しようと誓い合っていた。
だが、店の主人は、商売熱心な徳兵衛を、
姪と結婚させようと話を進めていた。
徳兵衛がなかなか承諾しないので、主人は徳兵衛の継母に、
大金を渡して話をつける。
それを知った徳兵衛は、自分の妻は
お初しかいないと訴えるが、主人は聞き入れない。
徳兵衛は継母の家に行き、
主人から受け取った大金を主人に返すために取り戻した。

 その帰り道、徳兵衛はばったり出会った親友の九平次に、
金を貸してほしいと懇願される。
人のいい徳兵衛は断りきれず、
主人に返すための大事な大金を、九平次に貸してしまった。
だが、約束の日を過ぎても、
九平次は、金を返しには来なかった。
一方お初の身にも、身請け話が持ち上がっていた。

 そんなある日、運命に追い詰められた二人は、
久しぶりに生玉本願寺の境内で再会する。
するとその時、町衆といっしょに九平次が現われた。
「金を返せ」と迫る徳兵衛。
「金など借りていない」と開き直る九平次。
九平次はさらに、徳兵衛が店の金を使い込んだと
町中に吹聴し、町の人々は、九平次の嘘を信じた。

 落胆した徳兵衛は、お初が働く「天満屋(てんまや)」に
人目に隠れてやってきた。
徳兵衛をかくまうお初。
そこへ九平次が店にきた。
大金を使い我が物顔であびるように酒を飲む九平次。
すべてのことが、九平次の思い通りに進んでいた。

そもそも、遊女であるお初は、
自由に徳兵衛と結婚できる身分ではない。
九平次の企みにだまされた徳兵衛も今では追われる身。
商人にとって一番大切な信用を失い、
叔父でもある主人に合わせる顔もない。
お初は、どうせ生きて結ばれることがないのなら、
天国で夫婦になろう、
愛をまっとうして一緒に死のうと、徳兵衛に迫る。
追い詰められた自分のために命を断とうというお初の心に、
徳兵衛は心中を決心する。
ふたりは店を抜け出し、曽根崎の森へと向かう。
そして、天国で夫婦になることを固く誓い合って、
愛と名誉を守るために、心中を果たしたのだった。


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フラメンコ曽根崎心中にはセリフは存在しない。
わずかにナレーションが入るがあとはすべて踊りと歌、
そして身体全体と表情だけで表現する。


お初と徳兵衛が村の衆の好奇と軽蔑の目にさらされ、
噂されるシーンがあるが、
村の衆を演じる舞踊団の踊りや表情には
鬼気迫るものがあって圧巻だ。

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フィナーレのシーンはとても文字で表すことは不可能。
あえて伝えるならこんなカタチだろうか。
この愛を完遂するには心中という方法しか
選ぶことができない二人。
しかしなかなか刀をお初に向けることができない徳兵衛、
その葛藤を身体全体で全身全霊の踊りだけで表現する。

そして…

特筆すべきは、音楽だ。
効果音、音楽、歌、全てがライヴなのだ。
感動は、音も含めてフィナーレにやってくる。


あの感動のステージから二年。

フラメンコ曽根崎心中がうれしいことに
再び福井県内で公演されることになった。


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既にたつやはチケットを購入して、
指折り公演を楽しみにしている。

フラメンコ曽根崎心中・福井公演
2007年7月15日(日)福井フェニックスプラザ
昼の部・開場1時・開演1時半
夜の部・開場5時半・開演6時
お問い合わせ先・FBCメディアコンテンツ
0776-57-5489
SS席8000円・S席7000円・A席6000円・B席5000円(全指定)

※写真掲載については、許可をいただいて掲載しております。

昨年3月には、フラメンコのステージで鯖江に来ていただきました。
その時に、いろいろアテンドさせていただいたのが縁で、
今でも、たつやとも、懇意にしていただいていて光栄ですわーい(嬉しい顔)

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posted by たつたつ・たつや at 23:10| Comment(2) | TrackBack(1) | コンサート・ライブ・舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
写真を見るともう興奮しちゃいますね!
待ち遠しぃ〜っ!!!!

すっげー楽しみです。

当日もし感激で泣いてたら見なかった事にしといてくださいね。
Posted by ガッツ at 2007年04月21日 12:37
今までに沢山のコンサートや舞台を見ましたが、
間違いなくこれはベスト3に入ります。

期待していただいても、裏切ることはまずないでしょう。

当日は、俗世間を離れて、舞台に集中しましょう。

たつやなんて、タオルが放せません・・・
Posted by たつや at 2007年04月21日 23:04
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Excerpt: 大ヒット&ロングランなフラメンコ曽根崎心中が今度は熊本へ。 普通の劇場とは違った...
Weblog: フラメンコ.net フラメンコの総合情報サイト
Tracked: 2007-04-22 01:04