荷物の積み下ろし自体は一時間ほどで終わったが、
このまま帰るのはあまりにももったいない。
いつもなら知恩院近くの骨董やさん界隈や
京都の台所と呼ばれる錦辺りをぶらぶらするのだが、
今回のクルマは友人から借りたハイエースのロング。
町中のパーキングにも苦労しそうで、
今回は滋賀の田舎道を通って帰ることにした。
とりあえず地図を見ていつも通る琵琶湖近辺を避けて、
信楽に出て、307号線を走ることにした。
巨大タヌキから、ミニチュアタヌキまで、
ものすごい数のお土産物屋さん。
信楽名物だけど、いったい誰が買うのでしょ!?
残念ながらたつやの感性には、ちょっと・・・


信楽を抜け、北上していくと甲賀市に出る。
水口町の旧東海道辺りをブラブラしようと思い、
街中を適当に曲がると、
たつやの感性にバッチリ



その建物は、青空をバックにベージュ色の肌を
太陽に輝かせて気持ちよさそうに建っていた。
車を止め、近づいて見ると更にその建物の魅力は増していく。
大正末期から昭和初期の洋風建築の様式があちこちに見られ、
近江八幡市内で見たヴォーリズ建築に似てると感じた。


表に回って正面入り口にある説明板を見ると、
その建物は紛れもないヴォーリズ建築そのものだった。
適当にハンドルを切って、引き寄せられるように、
たどり着いた古い洋風建築物が、
たつやの大好きなヴォーリズ建築だったことに感動した。

この建物は旧水口図書館
以前の近江八幡市のヴォーリズのブログ

http://onmyojitatsuya.seesaa.net/article/19717215.html
以下は甲賀市の説明文・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヴォーリズが設計した旧水口図書館は戦前における
最盛期の作品の一つとして知られています。
この図書館は使い手の立場を大切にし、
簡素でありながら、清潔感にあふれ、
しかも高い実用性に優れていることに特長があります。
シンプルな中にも玄関は両脇にローマ風の円柱、
上部は壁面を半円アーチ状にくぼめて書物と燭台の浮き彫りにし、
玄関の上部には小さいバルコニーを配し、
塔屋上のランタンなどがおかれ、
「知の館」にふさわしいデザインが見られます。
建築家の間でも「珠玉の小品」と呼ばれています。
平成13年に保存活用のために
まず国の登録文化財建造物として登録され、
当時の材料やデザインを生かし、
耐震構造に補強され、平成16年7月より公開されています。
国登録有形文化財建造物 旧水口図書館
滋賀県甲賀市水口町本町一丁目(甲賀市立水口小学校内)
東海道の宿場町としてまた小さな城下町であった
水口(みなくち)の町に、昭和3年(1928)
突如現れたこのモダンな建物は、
水口出身で大阪で成功された実業家井上好三郎氏が、
故郷のためにと寄付してくださったものです。
イオニア式円柱を配した玄関ドア上のドームには、
灯火と本とオリーブがあしらわれ、
「知の館」にふさわしいイメージを演出しています
建物概要
鉄筋コンクリート2階建(一部レンガ造)
塔屋付・陸屋根 施工者未詳 建築面積 52平方メートル
昭和3年竣工 昭和45年まで公共図書館として利用
平成14年まで 水口教科書センターとして利用
平成13年10月 国の登録有形文化財となる
平成16年9月 保存改修工事に着手する
平成16年3月 保存改修工事が完了

東海道に沿ってあった商店街は、
今は残念ながらほとんど営業していませんでした。
街道に相応しい立派な建物がたくさん残っていますが、
まちづくりには活かしきれてないように思いました。
昭和の名残りを感じさせる煙草屋さんのガラス看板。


穴の開いたアーケードの屋根を抜ける風が冷たい夕方でした。