たつやも旧道を通ることはほとんどなくなってしまった。
交通量も極端に少なくなり、のどかな田舎の道になっている。
美山に向かうトンネルのひとつ手前の信号を右に曲がり、
しばらくすると、左手に見落としてしまいそうなそばやがある。
宿布屋(しくぬのや)
それこそ、20年ぶりにその店の暖簾をくぐった。
祝日の午後4時近く。
横開きの戸を開けると、店の奥から
「いらっしゃい」という声だけが聞こえた。
店内は、たつやひとり。
薪ストーブが赤々と燃えているだけで、
本当に静かな空間だ。
古民家風の店内は、輪切りにした大木のテーブルが置かれ、
壁にはこどもが描いた絵や、アンティークな柱時計などが飾られている。
奥の方には囲炉裏も切ってある。
おろし一本!一皿500円
麺は、つなぎに山芋を使ってるせいか、
太くてごつい蕎麦ながら、喉越しはとてもよい。
ダシは醤油ベースに塩が少し入っているような感じで、
噛み応えのある麺との相性もいい。
20年前に食べた味を思い出した。
あの頃と全く変わらない蕎麦を出し続けているのだ。
四角の小さなお盆に乗せられた6寸もののそば鉢に
おちょこに入った蕎麦湯・・・
そのどれもが変わっていなかったことに
驚いたと同時にうれしくも感じた。
ここだけがゆっくり時が流れている。
宿布屋
福井県福井市宿布町2-1-1
電話 0776-41-1977
営業時間 11:00〜18:00
定休日 不定休