2010年12月02日

明治の図書館『江北図書館』@木之本町

木之本町は福井県から滋賀県に入ってすぐの町で、
敦賀からなら8号線を走っても1時間とかからない。
近いようでいて、用事がなければ素通りしてしまい、
なかなか立ち寄ることがない町だ。
今までにも数回、町歩きをしたことはあるけど、
北国街道沿いの町並みは昔の佇まいを残して、
風情のある町という印象があった。

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この日は木之本駅で簡単な地図をもらおうと、
駅前に車を停めて、少し歩こうと思った。
すると駅のすぐ前に、古そうな西洋建築物を見つけた。
恐らく大正末期か昭和初期に建てられたのだろう
外観のいくつかの特徴から、そう分析した。

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ここはいったい・・・
と思い、近づいていくとそこは図書館だった。
『江北図書館』
図書館ならば、誰でも入ることが出来る。
入り口で靴をぬいで、かばん類は棚に入れて、
次のガラス戸を開けて入るようになっていた。
中におられた女性職員の方に、
ちょっと見学したいとの旨を伝えると、
どうぞどうぞと応対してくれた。

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ん〜、中も想像通り古い作りになっていて、
アールデコの建築様式の名残が見受けられた。
初めて行ったのにどこか懐かしい印象を受けるのは、
木造校舎を知っているからなのかもしれない。
写真撮影の許可をいただき、見学させてもらった。

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昭和初期に作られたガラス。
たつやもこのガラスが好きで何枚かもっています。
実にオシャレなガラスだと思いませんか?

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一階を見学した後、普通は見ることが出来ない二階も案内していただいた。
そして上がって驚いた。
それはまるで階段を登っている間に
時が80年ほどタイムスリップしたのではないか?
と思える景色が目の前に広がったからだ。

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ひとつの大きな集会場のような空間で、
四隅の柱や壁以外、視界を遮るものがないのだ。
これだけの空間を柱を建てずに支えていること自体にも驚いた。
古い本棚が並び、戦前の本がずらりと並んでいるが、
2階にある以上、人の目に触れる機会は少ないだろう。

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部屋奥の中央には演台が設置されていた。
ここに木之本町の人たちが大勢集まって、
誰かの講演や話を聞いたのだろう。
埃をかぶった演台にそっと立って、周りを見渡すと、
たくさんの人たちが集まってこちらを見ている様子が垣間見えた。

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この『江北図書館』の前身は明治にさかのぼる。
明治37(1904)年、余呉町の杉野文弥氏が私財を投じて設立した杉野文庫が前身。
その後の法人化で江北図書館と名前を変え、行政が運営しているのではなく
地元の人達による財団法人で運営されているという。

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昭和初期に建てられた建物の老築化は進んでいて、
特に、見学させていただいた2階は、
昔の書籍が並ぶ倉庫のようなカタチで使われているだけで、
正直、改築をしなければ使用することは不可能に近いと思う。
もしこの図書館を行政が管理していれば、改築保存という方法もあるが、
財団法人としては、かなり難しいようだ。
いや、もし行政が管理していたならば、もうとっくに解体されていただろう。
民間が運営していたからこそ、この建物が今まで残ったのだと思う。

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しかしながら、やはり財団法人だけの力では江北図書館を存続させていくには、
限界があることは、今の時代容易に想像できる。
今こそ、行政の力も必要だと考える。
町や県が何とか保存方法を模索して欲しいと願っている。

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そういえば、先日の福井新聞に敦賀にある
『旧農商務省獣類検疫所神戸支所敦賀出張所』
取り壊しになるというニュースが載っていました。
たつやもわずか3年前にブログを書きました。
http://onmyojitatsuya.seesaa.net/article/40803433.html

その時にも敦賀市で保存の方向に行って欲しいとコメントしましたが、
やはり取り壊しとなるようです。
原発で財政は他の市町村よりも潤沢であろう敦賀市でさえ、
こんな結末を迎えてしまいます。

DSC_0029.jpg

江北図書館が同じ運命を辿るとは思いたくありません。
たつやもこの日はうっかりしていたのですが、
今度行った時には心ばかりのご寄付をしたいと思っています。

財団法人 江北図書館
滋賀県長浜市木之本町木之本1362
(JR北陸線木ノ本駅東口ロータリー前すぐ)
0749-82-4867
開館時間/9:30〜17:00
定休/月曜、第2・4日曜日、祝日(第2・4・5日曜日の開館は午後2時まで)
駐車場/あり

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ラベル:滋賀県 西洋建築
posted by たつたつ・たつや at 22:12| 福井 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | 旅先にて・国内編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!

私も木造校舎で学んだ経験者として、この建物には懐かしさが感じられました。
木造はやっぱり良いですね、独特のあたたかさが有って・・・。
色んな人が手にしたであろう本の数々も、味わいのある装丁ですね。
私の母校も市内ではちょっと有名な建物で、年に1度位一般の方も中を見学出来る機会が有るのですが、そんな建物で幼稚園〜短大まで学べた事、今はとても誇りに思ってます。
こちらの建物も、取壊しなんて事にならない事を願います。
Posted by mocha at 2010年12月03日 10:53
この敦賀の出張所って敦賀の水島に行く途中にあるあの建物ですか?私は車から出張所を見て、すごく感動したんですが、取り壊しのNEWS(新聞記事)を見てちょっと複雑ですね。出来れば、取り壊ししてほしくないんですけど・・・
建物は、いろんな歴史を見ているのに、それが壊されるとなると歴史を見てきた建物が消えちゃうんだなぁ〜ってちょっと寂しいんですよね。建物を見るだけで、歴史が蘇ってくる。不思議なものですね^^
ちなみに私は、レトロな建造物、木造建築など大好きです。見ているだけで、お〜っ^^って思いますね。
木之本は365から滋賀に行くときに、通るだけであまり知りませんが、木之本というイメージは歴史ある街というイメージがあります、戦国時代?そんなイメージが・・・ しずがたけ、彦根城などのイメージが強いからかな?
滋賀はあまり詳しくはありませんが、日本は小さい島だと言われてますが、まだ知らない日本がたくさんあります。私もたつやさんみたいに、いろんな日本、地元福井をもっともっと知りたいです。そして盛り上げられるようになれたらいいなぁって思います。

 
 
Posted by mintblue at 2010年12月03日 11:41
mochaさんはそんな校舎で過ごしたのですね。
だとすれば、この手のあったかい建物は懐かしいでしょうね。
滋賀県?京都?辺りでしょうか?

以前に滋賀の豊郷小学校の取り壊しから、
市長のリコールにまで発展した出来事がありましたが、
それくらい建物は人に愛されるものなのですね。
江北図書館が敦賀の建物と同じ運命を辿らないことを祈ります。
Posted by たつや at 2010年12月04日 20:27
mintblueさん、そうです、まさにその建物なんです。
見られるのは後、数日なのでしょうね。
たつやは3年前に訪れた時には、その会社の方にお願いして
建物内を見学させてもらいました。

滋賀県内は木之本に限らず、結構古い建物が
まだ残っているエリアです。
たつやはヴォーリズ建築が好きなのですが、
mintblueさんもきっと好きな建物だと思いますよ。

調べて行くといいと思います。
今、見て記録しないと無くなっていくかも知れません。

Posted by たつや at 2010年12月04日 20:38
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