何度かこの界隈を歩いたことがあるが、
建物の中には入ったことはない。
通りを歩いていて、一番風情のある町屋を覗いて見ると、
どうやらそこは古美術を扱っているお店のようだった。


大抵たつやが旅先で覗く骨董やさんは
ところ狭しと道具やガラクタが並んでいて、
商品?を見てると手先は真っ黒になったりしているのだが、
このお店には小さな飾り棚に
何やら品のある焼き物や小物がいくつか並んでいるだけだ。
それだけでいつもの骨董品や古美術店とは違う空気が
ビンビン伝わってきた。



ちょっとだけ首を伸ばし顔を部屋に入れると
ピンポ〜ンとベルが鳴った。
どうやらセンサーに反応したようだ。
中からこの店のご主人が出てこられた。
お店の雰囲気とピタリあってる品の良い方だ。
すいません、ちょっとだけ見せていただいていいですか?


120年ほど前に焼かれた九谷焼の赤絵の菓子鉢。
あまりにも見事で、しばし見入ってしまった。
とにかく人間技とは思えないような細密な絵と、
計算しつくされた構図と色あい、またカタチが実に美しい。
金彩もまったく色落ちすることはない。
どの角度から見ても
非の打ちどころがないシンメトリーなデザインは、
見た人の心をつかんで離さない。
最近好んで使っている言葉だけど、
この九谷焼の菓子鉢の中には、宇宙があると真剣に思った。
こんな作品は時を超えて、
色褪せることはなく、年月を経て尚、輝きを増すように思える。
120年経っても、見る人を魅了することって、
当時の職人の技の凄さを感じてしまう。

左下に写っているのが、たつやの人差し指です。
この大きさとこの細密な筆捌きを比べてみてください。

こちらのお店、古美術『梶』さんのご主人は、
わざわざひとつひとつ手に取って丁寧に説明をしてくださった。
九谷焼の歴史や文化だけでなく、
出来上がるまでの行程や、焼き上がる温度や色付けのことを
具体的に数字で説明してくださったのだった。
ありがとうございました。

たつやも年を重ねて、和の世界の素晴らしさを痛感することが増えてきた。
日本人だけが持つ感性・・・繊細さや美的センス、
モノを通して精神的な道を説くことなど、
実に奥深い文化だと思っている。
この日もあらためて、その凄さを知らされた一日だった。
だから見知らぬ町のぶらり旅はやめられない。
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福井情報の応援もよろしくです。記事1163
鯖江と縁がある方で、毎週金曜日に昼食を食べる会にゲストスピーカーとして
わざわざお越し頂きました。
お話し振りからも真摯さが伝わってきました。
たまたま惹かれて入ったお店だったんです。
ですが、たつやが知ってる古美術店とは、
全然違っていて、品格のある店とご主人でした。
まさかこちらの方が、そういう会の講師をされていたと聞いて、
びっくりしました。
また大聖寺に行った際には、ご挨拶したいです。