2009年08月18日

深田久弥「山の文化館」

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ここに来るのは3回目だった。
以前に2回来た時には休館日だったり
閉館する時間だったりして、
外から眺めるだけで内部を見ることはできなかった。

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今年のお盆休みはどこにも行かないでおとなしく…
と思ってはいたが、やはりどこにも行かないのは身体に悪い!がく〜(落胆した顔)
と自分で自分に言い訳して、
最近お気に入りの三国から加賀まで出かけることにした。

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大聖寺の街中に深田久弥「山の文化館」という風情のある建物がある。
門の向こうには大きな木が何本も連なっていて、
それだけでもこの場所にはある種のエネルギーが満ちている気がした。

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立派な門をくぐると眼前にそびえ立つ銀杏の大木が迎えてくれる。
右側には樹齢350年とも言われるタブの巨木、
樹齢700年のスダジイの巨木があって、見るものを圧倒する。

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建物は築100年ほどの木造建築で、もとは繊維会社だった。
この時代に流行った洋風建築様式をあちこちに見ることができる。
この入り口に佇むだけで、大正時代にタイムスリップしたような気になる。
床の象嵌や柱などの装飾、照明、天井の作りなどの
手の込んだ仕事が実に見事だ。
この時代の職人の技を感じることが出来る。

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入り口で入館料300円を払う。
この建物を管理している団体の事務局長さんが自ら、
庭の木の説明や、建物のこと、そして深田久弥のことなどを
実に詳細に渡って説明をしてくださった。
いろんな質問をしたが、すべて明確な答えが返ってくることも、
お話をしていて、とても勉強になった。

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建物右手奥には深田久弥が愛用していた登山用品や、
初版本や原稿、年表などが展示されている。
図書室も完備され、山の本を中心に多くの蔵書が揃えられている。

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談話室となっていた二階にも上がらせていただいたのだが、
大きな和室が3間続くとても広いスペースとなっていた。
和室は立って見える世界と座って見える世界では、
まったく別のものとなる。
立って歩くと鴨居が低いのが気になるのだが、
座るとちょうどいい高さに見える。

部屋の一番奥のど真ん中に座って正面を見れば、
畳、天井、鴨居、左側の窓が全部計算しつくされている。
手前の長方形の世界が少し向こうに行けば、縮小された長方形の世界、
さらに向こうに行くと、さらに小さな長方形になっていくのだ。

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左側の窓の高さも低いように感じたが、
畳に座ってみて、窓の外を眺めるには、
もっともいい高さになっている。
銀杏の大木を上から覗くと下から見たそれとでは
また違った趣きがある。

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また建物左手には別棟の茶室があり、
そこがカフェとなっている。
この日はデジタルカメラで撮った画像を、
コンピュータの画像処理ソフトで水彩画風に作った
写真展が開かれていた。

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大木に囲まれた気持ちのいい場所に、
テーブルが置かれ、外でお茶をすることもできる。
もちろんたつやはこの場所で。

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実に素晴らしい建物と文化的資料が揃い、
抜群の環境に囲まれ、しかも親切なスタッフによって運営されている
深田久弥山の文化館
しかしながら、この日はお盆休みにも関わらず、
訪れる人は少ないのは実に残念に思えました。

是非、おすすめしたいスポットです。

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深田久弥
1903年、石川県江沼郡大聖寺町(いまの加賀市内)に生まれた。
1971年、山梨県の茅ケ岳山頂近くの尾根で、脳卒中のため急逝。
68年の生涯だった。本光寺にある墓の裏面に、「読み、歩き、書いた」
と刻まれている通り、歩きに歩いた人生だった。
スタンダールの墓碑銘「生き、書き、愛した」にちなんでいるのは、
久弥が生涯スタンダールを敬慕していたからだ。
世俗を嫌悪し精神の高さを求めて生きるという心を共有した。

久弥の「山」は、内なる精神を世俗から解き放つ場であった。
精神の開放の場として山々を歩いた。
戦前、鎌倉文士時代に小林秀雄を誘って雪山に入っていたのも、その一端だ。
戦後は小説よりも山の文章を多く書いた。
読売文学賞を受けた『日本百名山』をはじめとする山の文学は
日本文学史に独自の地歩を築いている。なかでも故郷の山、
白山を描いている幾多の文章は山の文学の白眉である。

山の文化館館長 高田宏
(深田久弥山の文化館ホープページより)


深田久弥・山の文化館石川県加賀市大聖寺番場町18番地2
TEL0761-72-3313
FAX0761-72-1181
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:火曜日(祝日は開館)・年末年始(12/30〜1/1)
       
入館料
・一般 300円
・高齢者(75歳以上)150円
・団体(20名以上)250円
・高校生以下及び障害者の方 無料

http://www1.kagacable.ne.jp/~yama/

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posted by たつたつ・たつや at 22:10| ☁| Comment(5) | TrackBack(0) | 旅先にて・国内編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
深田久弥 山に登る人で彼の名前を知らない人は
いない。 日本100名山を書いた登山家でもある。

彼の母は福井出身 そんな関係で 福井中学(現 藤島高校 )に通った。

福井を基点に県内の山も相当 登っている。

勝山の親戚に行くため 京福電鉄 勝山駅でおり
勝山橋を渡る時 大野に雄大 どっしりと
そびえる 荒島岳を見て 感動し そのご すぐ
登った。 

この印象から 福井県で 100名山に 唯一 荒島岳を
掲載したのは有名な話である

福井県ゆかりの 作家 登山家 深田久弥 
私も大好きである
Posted by 勘兵衛 at 2009年08月19日 05:59
旧大聖寺町には至る所に巨木が聳えたち、市の天然記念物として保護されている。
また城下町の名残を残す堀や土塀、沢山の歴史有る建造物や寺院も旧町内に沢山点在している。

深田久弥は日本を代表する登山家でもあった。
K氏言葉を補足するなら、その深田久弥が12歳の時に初めて山に登り登山に興味を持つ
きっかけとなったのは、加賀市山中町と坂井市丸岡町を結ぶトンネルの上に位置する冨士写ヶ岳(942m)で、福井との県境の山でも或る。

広大な敷地に帳場と呼ばれた事務所の漆喰で飾られた壁や玄関の旧織物会社の帳場と呼ばれた事務所跡も繊維の街で生まれ育った我々には懐かしい。

この館長さん、どことなく気さくな感じで北海道選出の鈴木宗雄議員に似ていませんでしたかぁ?
 
Posted by でぃ at 2009年08月19日 14:11
僭越ながら・・ この「山の文化館」の館長さん高田宏氏は、たつやさん同様に加賀市では超有名人です。

作家、随筆家としても著名で他に日本ペンクラブ理事、石川県九谷焼美術館館長、をそれぞれ務めており、また元将棋ペンクラブ会長でもあった。 息子さんの高田尚平氏はプロの将棋棋士である。

お盆に訪れたたつや氏を気に入られた様子で氏のブログ8/14で、このように記されている。

http://www1.kagacable.ne.jp/~yama/nikki.htm
 
Posted by でぃ at 2009年08月19日 14:49
勘さん
詳しい御説明ありがとうございます。
山を登られる方にとっては聖地みたいなところなのかもしれませんね。
深田久弥さんのご実家は紙屋と印刷業を営んでいたということで、
印刷業に携わるものとしてちょっとうれしく思います。
子供の頃から紙や活字に触れ、
訳のわからない校正を読む祖母の声を聞いて育った私にも、
少しは文化の香りが漂うようになりたいものです。
Posted by たつや at 2009年08月20日 12:23
でぃさんも大聖寺に魅せられた人だから、
お詳しいですよね。
確かに自然と古い町並みが実にマッチした
風情あふれる素敵な街だと思います。

この山の文化館を管理運営されていらっしゃる団体の方々には、
きっと大変な苦労があったことと推察しますが、
後世に残る大切な文学と歴史的建造物の保存をされていることに
頭が下がります。

たつやも読ませていただき恐縮しています。

繊維産業ってものすごい時代があったのですね。
Posted by たつや at 2009年08月20日 12:28
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