2015年09月23日

たつやのトウキョウ見聞録・第N無人居住区

神田神保町の古本屋街を歩いていると、
ちょっと気になる看板が目に留まった。
『第N無人居住区・・・5F』

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いったい何なのだろう。
古本屋の細長いビルの上の小さなギャラリーで、
何かしら面白いアートが展示されているのではないかと思った。

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エレベーターのスイッチの5を押した。
...2...3...4...5
開いたドアの右奥に「第N無人居住区開催中」が、
一文字ずつ10枚のB5の紙にプリントアウトされ、
黒のテープで無造作に貼られている。

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中の部屋は薄暗い。
部屋の隅にちょうど人の背丈と同じ位の、
細かい箱を積み重ねたようなものが見えた。
近づいて見ると、それは段ボールで作られた雑居ビルが
無秩序に重なり合って、出来たひとつの町だった。

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ここへ来て、ようやく無人居住区の意味を知る。
この町は廃墟のようでもあり、要塞のようでもあり、
人は住んでいないが、何かしら得体の知れぬものが
住み付いているかのようでもある。

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たつやが子どもの頃、とても怖かった景色がある。
それは海沿いにあった大きなセメント工場の夜景だった。
それこそ継ぎ足し、継ぎ足しで巨大になっていった工場、
所々に電気がついてるが、白っぽい光だけ。
そこには人の気配を感じることのない空間と、
巨大で得体の知れぬ不気味さが、
子ども心にも、恐怖心を覚えた。
その工場が出てくる夢は、小学校の高学年まで見た。

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この第N無人居住区を見てると、
そのセメント工場のことを思い出した。

何とも言えない一種異様な世界。
それにしても細部まで丁寧に作りこんでいる。
いろんな角度から見ると、また違った世界が見えてくるのだ。
もしカメラ搭載のミニミニヘリコプターがあったら、
この無人居住区を飛ばしてみて、その映像を見てみたいと思った。

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第N無人居住区とは・・・
市街地無人化計画により住民が強制退去させられた街
という設定で作られた。
段ボール製の廃墟風オブジェ。

時々無人化前のN区を表現することもあります。
その他設定のいろいろ
・二足歩行のうさぎが住んでいる。
・銘菓は「電気ドーナツ」
  (こちらの世界でいうクッキーのスノーボール)
・区民はみんな増築が好き
・区民はみんな無節操で無頓着
・自警団との闘いもそこそこ呑気
・増築王は今井ゴムホースという店の今井さん
・「狐飯店」「一つ目商店街」「ナントカ座」
 「今井ゴムホース」などの看板をよく見かける
・強制退去命令が出た後も動力部は生きている
・BarBarモノアラガイのサインボールは待ち合わせスポット
・子どもたちに人気のアニメは『魔法乙女レモンシフォン』
etc


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作家さんは燈(ともり/Tomori)さん
山梨県甲府市生まれ。
東京在住。
語学系大学を卒業後、独学で立体造形を始め、
販売業・IT企業で働きながら作家活動をしている。
立体オブジェの他、音楽やイラスト・絵など。

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写真を一枚、撮らせてくださいとお願いしたら、
こんな一枚になりました。

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アニメの世界に入り込んだような感覚になったり、
どこからか聞こえてくる誰かの声、
とても不思議な世界にいざなってくれました。
いろんな才能のある人が世の中にはたくさんいるんだなぁ・・・
東京初日の初めから面白い世界と出会いました。

場所:神田神保町 Art Space Sawa
日時:2015年9月18日(金)〜27日(日) 期間中無休
    12時〜17時(24日・25日以外作家在廊)

Art Space Sawa
東京都千代田区神田神保町1-7日本文芸社ビル5階
070-6512-5062








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posted by たつたつ・たつや at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅先にて・国内編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする