それは越前漆器をより多くの方に実際に使ってもらい、
その素晴らしさ、面白さを知って欲しいという企画です。
今、越前漆器協同組合のカタログの製作をしていますが、
その巻頭ページに特集で書いている記事です。
越前漆器で洋食を食べてみたいという企画は
あらたな漆器の可能性を模索する試みでもありました。
和食ならば漆器は違和感なく受け入れられるのですが、
イタリアンやフレンチ、エスニック料理、
それにスイーツ、パンなどのシェフにとっては
なかなか漆器と触れる機会が少ないようです。
私たちが漆器の可能性を探るために、
洋食のシェフの元に漆器を持ち込み、
これで料理を出してくださいませんか?
とお願いしたときには、最初は多少戸惑うようでした。
しかしながら配膳台の上に漆器を並べて、
どれをどのように使うかを考えているシェフたちは一様に真剣です。
そしてしばらくして、料理が越前漆器に盛り付けられると、
シェフもまわりのスタッフも自然な笑顔になっていきました。
越前漆器のふるさと、福井県鯖江市内にある
サバエシティーホテルの総料理長、
藤井正和シェフのもとを訪れました。
藤井「最初にいきなり漆器を持ち込まれた時にはちょっと戸惑いましたね、
だってホントに突然なんですから(笑)」
たつや「すいません。まず最初に用意した器をひとつひとつ眺めていましたよね。」
藤井「はい、あれは今日ある地元の食材を使った料理を
どのように盛り付けるかを考えていました。
一番重要視したのが大きさでした。」
たつや「あっ、だからメインプレートはお盆を使ったんですか。」
藤井「そう、それもわざと裏を使いました。
フラットなプレートに盛り付けるのは、最近洋食の世界でも、
わりとポピュラーになりつつあるんです。
ソース料理にはどうこう言われますが、
粘度の高いソースにすれば問題ないですし…。
それより食材が映えますね。」
たつや「はい、私は最初料理が運ばれたときに、
水面に浮かぶ島だったり、日本庭園を思い浮かべました。
何故か漆器の上では料理のランクが
ひとつも二つも上がるように感じました。」
藤井「確かに漆器にはそういう力がありますね。
盛り付ける段階でアーティスト気分でしたから。」
たつや「テーブルに運ばれてきた時に、思わず声をあげました、
何処かの若い女の子のように(笑)」
藤井「ただ私たちの世界で使っていくのに問題がない訳ではないですね。」
たつや「例えばどういうことでしょうか。」
藤井「例えば、一日に数組限定で越前漆器での洋食というのは
なかなか面白いと思いますが、大人数となると、
コスト面や食洗器の問題があるでしょうね。
それにサイズ的にもいろいろ欲しいです。」
たつや「なるほど、最近は食洗器対応の漆器も開発されていますし、
サイズ的にはいろんな対応が可能だと思います。
最後に越前漆器の可能性についてはどうお考えですか?」
藤井「これからは食の世界でもますます二極化していくと思うのです。
非日常の高級指向タイプと、はやりコスト重要タイプ。
どちらにどのように対応していくかが大切だと思います。
日本の伝統文化に裏打ちされた越前漆器は
洋食の分野でも世界に十分に通用する素晴らしい器だと思います。」
お渡しした器の中から半月のお盆を選び、しかもその裏側を使い、
大胆かつ繊細さを持ち合わせたメインプレートに感動しました。
その日ある地元鯖江産、福井県産の食材の中から、厳選の素材を選び出し、
色合いとアートのような美しさが、実に新鮮でした。
これは藤井マジシャンが作った越前漆器マジックかもしれません。
サバエシティーホテル
福井県鯖江市桜町3-3-3
0778-53-1122
藤井シェフのブログ
http://www.kuchikomimap.com/10196/
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