昭和60年くらいだったと思う。
その頃に仲間と共に作っていたミニコミ誌の特集で、
福井県内のそばやの食べ歩きを扱ったことがきっかけだった。

当時、武生では「うるしや」「かめや」
今立で「森六」「大福」
福井で「三井屋」
勝山で「中村屋」
あたりがそば通の間で評判だった。
二十数年の間に、うるしやさんは閉店してしまったが、
その他の店は今でも営業を続けている。
もっとも森六さん以外の店は、新しく店舗を建てたり、
改装したりして、当時の面影を見ることはあまり出来ない。

さて福井市内を流れる足羽川に架かる九十九橋
(つくもばし)の南側にある三井屋さんへ
久しぶりに行った。

旧旧店舗は、今の店よりももう少し川に近いところにあって、
確か店の中は土間だったように記憶している。
その後、現在の場所に移転し、数年前に完全に建て直しをしている。
昭和61年頃の三井屋

あまりそばやさんらしい外観ではないが、
久しぶりに食べる三井屋のおろしそばは、
20年前のそれと、まったく変わることがなかった。
細い麺ながら、ほんの少し幅広麺で、やや縮れている。
口に入ると優しい食感。
ダシがしっかり効いた旨味たっぷりのおろしだしと、
この麺の相性は抜群で、何杯でも食べられるおろしそばだ。
事実、10年以上前に、三井屋に4時間近くいて、
おろしそばを8杯ほど食べた記憶がある。

腰が強いそばを食べたい人には、
あまりお奨めはできないが、
たつや的には、時折無償に食べたくなる味だ。


古くは、劇団民藝を主宰していた宇野重吉氏が
稽古場まで、この三井屋のそばを送ってもらい、
劇団員で食べたという。
店内には氏の描いた『めだかの学校』の書が飾られている。

唯一、暖簾に昔の面影を見ることができた。

三井屋
福井県福井市つくも2-4-14
0776-35-3007
営業時間:11:00〜18:00
定休日:毎週水曜日
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