
越中八尾のおわら風の盆は毎年9月の1.2.3日の3日間行われる。
普通の賑やかな盆踊りと一線を画して、
哀愁が漂う独特の世界を持つ踊りとして知られている。
もう何年も前に風の盆に行った先輩から聞かされた話から
浮かんだ八尾町の情景は美しい日本の伝統的な文化を彷彿させた。
以来一度はこの風の盆を見たいと思いながらも
気がつくと期日を過ぎていて結局行くことが出来なかった。

そして昨日、急に思いたって高速を飛ばすことにした。
夜出発して、一般の観光客が帰り始める午後10時頃に到着し、
夜中に町を歩き、明け方には鯖江に帰ってくるというスケジュール。
数人の友人に声をかけたが、こんな突然の粋狂に付き合ってくれる輩もいない。
もともとひとりが好きだから、むしろその方が気が楽というものだが。


ETCカードを二枚持ち通勤割引時間帯を利用し、
鯖江から小杉まで北陸自動車道を走る。
小杉から一般道で三十分ほどで八尾町の入口に到着する。
町の中心までは当然マイカー乗り入れは出来ずに
町の中心街から結構離れた駐車場にクルマを停めてシャトルバスに乗る。
この時間帯に町に行く人は少ないだろうとたかをくくっていたが、
シャトルバスはあっという間に満席になった。

最初のうちはどこをどう歩いていたかわからずに
特設ステージなどを見て歩いていたが、
12時を過ぎた辺りから、町流しが、ぽつりぽつりと始まる。
胡弓、三味線、歌い手が集まりそこに菅笠とゆかたの踊り手が加わる。
時には観光客も加わり、その輪は大きく広がる。


写真を撮ろうと思うが明るさが足りなくて絵にならない。
考えてみれば、ここ八尾町は写真など撮らずに、
じっくり踊りと音楽を楽しむところなのだろう。
数々のフラッシュは確かに踊りの風情を壊してしまう。
数枚フラッシュをたいてしまい反省した。


ゆっくり三味線が奏でられ、それに緩やかな胡弓の音が重なり、歌う声が流れ、
八尾の町は朝まで踊りが絶えることはない。

菅笠を深めにかぶると髪を束ねたうなじが実に艶やかに映る。
顔が見えそうで見えない、手先の動きが実に美しい。
雨が降ると楽器が濡れるため、町流しはやらないらしい。
この日は危うい天候ながら、雨が落ちることはなかった。
午前3時過ぎまで、八尾を楽しみ、家に帰り着いたのは午前5時半だった。


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