先週末に、武生クラシックスで開催された
『アルゼンチンタンゴの夜』に出かけていった。
バンドネオンとギターによるアルゼンチンタンゴのライブだ。
たつやにとってのバンドネオンという楽器を生で聞くのは、
初体験で、いったいどんなライブなのかも良く知らなかった。
それに、タンゴってどんな曲があるのかさえもわからない。
だけど、以前に、やはりここで聞いたシャンソンのライブで
Hazzさんの歌を聴いて、
(この時も、シャンソンのことはまったく知らなかった)
http://onmyojitatsuya.seesaa.net/article/30403825.html
こんなに素敵な音楽が世の中には、いろいろあるし、
また素晴らしい演奏者がたくさんいるということを
あらためて知ったこともあって、
この日のライブに行かせてもらった。
バンドネオン奏者は小川紀美代さん、ギター奏者は小林智詠さん。
わずかふたりの演奏会なのに、音の幅がものすごく広く感じるし、
信じられないような美しい音が奏でられる。
バンドネオンって一台の楽器なのに、右の鍵盤(というかボタン)と
左のそれとでは、まったく違う楽器が歌うような感じなのだ。
また、歯切れのいい音から、ささやくような歌うような音までが、
演奏者の魔法にかかったかのように、
美しいメロディラインが流れてくる。
ギターの小林さんとの息もピッタリで、盛り上がっていくテンポや、
リズムを感じあいながらの演奏は見事だった。
たつやにとって、ジプシー音楽や、
スペインやアルゼンチンの音楽は、
理屈抜きにして、強く惹かれる。
目をつぶってじっと耳を傾けていると、
ナニカが見えてくる。
そのナニカがはっきり掴めないが、
この記憶は、現世のものではないことだけは確かだ。
わずか40人程度のアットホームなライブだったが、
本当に魂を揺り動かされたようなひとときだった。
小川紀美代(おがわきみよ)
日大芸術学部卒。ほぼ独学で奏法を学んだ後2001年
単身ブエノスアイレスに渡り、フリオ・オスカル・パネ氏に師事。
現地ライブハウス、ホテルなどで演奏、
ラジオや新聞で紹介されるなど歓迎を受ける。
2003年には、アルゼンチン最大の音楽祭
「コスキンフェスティバル」に日本代表として出演する。
2005年、大阪市とブエノスアイレス市の友好親善使節の一員として、
大統領府博物館ホールほか4箇所の公式コンサートに参加し、
好評を博す。
現在、アルゼンチンタンゴに限らず、CM、劇伴、演劇との
コラボレーションに積極的に取り組むほか、
幅広いジャンルのミュージシャンとのレコーディングに
も参加している。
「月ノ光」(2007年4月8日)をリリースしている。
小林智詠(こばやしちえい)
1980年埼玉県生まれ。南アメリカ音楽の愛好家である両親の影響で
幼いころからフォルクローレに親しみ、9歳でギターを弾き始める。
最初は主にアルゼンチン・スタイルのフォルクローレを演奏、
高校生のころよりフラメンコ・ギターに強く魅かれ、
大学在学中に鈴木英夫に師事。
1999年木下尊惇のユニットに参加。
牧田ゆき、みつとみ俊郎のユニットのメンバーとしても活動する。
2002年10月スペインへ渡航。
マヨルカ島に滞在中、ギターをベンハミン・アビチュエラに師事。
パルマ・デ・マヨルカ市内のレストラン、ライブハウス、
フェスティバルにて演奏。
その後2004年1月に自分のギタリストとしての原点である
アルゼンチンにも渡り、フアン・カルロス・カラバハル、
エル・レフンテとともにサンティアゴ・デル・エステロ州での
フェスティバルに参加。
帰国後の同年3月、東京都内で2夜にわたり
初の自主的な構成によるライブ『スパニッシュ・カレント』を行う。
現在はソロ、自身のユニットでのライブのほか、
岡田浩安、小川紀美代、福田大治、八木啓代、
フォルクローレやアルゼンチン・タンゴを中心に
数多くのミュージシャンのギタリストとして活動。
フラメンコ・ギタリストとしてはイベントでの舞踊伴奏などを重ね、
2007年1月には沖仁のCD『Nacimiento』発売記念ライブに出演。
一方で映画・TV番組・ゲーム音楽のサントラに参加するなど、
自分がたどってきた音楽の経験をもとに、活動の幅を広げている。
音だけでなくこのカタチや細工の美しさは生つばものです。
貝を埋め込んだ螺鈿細工が見事です。
小川さんがこの日演奏してくださったこのバンドネオンは
ドイツ製で、1920年代のものだそうです。
バンドネオン(bandoneon)は、主にタンゴで用いられる楽器。
アコーディオンに形が似ているが(同じ蛇腹楽器)、
鍵盤は、ピアノのような形ではなく、ボタン型で、
これが蛇腹を挟んで両側についている。
アコーディオンが1820年代に発明され、
改良して作られたアコーディオンの一種である
コンツェルティーナ(コンサーティーナ)の影響を受けて、
1840年代、ドイツのハインリヒ・バンドが1847年に考案した。
後にアルゼンチンで広まり、タンゴでよく用いられる楽器となった。
基本的なバンドネオン(ダイアトニック型)は、
蛇腹を押すときと引くときで別の音が出る、
音階配置がほぼ不規則といった独特の構造を持つ。
これは発展途上で不足した音階を建て増しした歴史に
理由があるようだ。
この為、習得が非常に難しいことから
「悪魔が発明した楽器」と呼ばれる。
中央のボタンは、隣同士の特定のボタンを同時に押すと、
(アコーディオンの左手と同じように)和音が鳴るようになっている。
これらのボタンを同時に押して、蛇腹を引き、
そのままの指で蛇腹を押すと、
同じ調のV7(ソ・シ・レ・ファ)−I(ド・ミ・ソ)
の関係になるようになっている。
蛇腹を引いたときの方が、音が響く。
蛇腹によく共鳴するためだと言われる。
従って、バンドネオン奏者は蛇腹を引く音を多用し、
蛇腹を引いて演奏しては空気抜きボタンを押しながら蛇腹を戻す、
ということを繰り返すことが多い。
特に、タンゴの鋭いスタッカートは、
膝を使いながら蛇腹を瞬時に引くことによって出される。
ウィキペディアより抜粋
※写真については、出演者の許可を得て掲載しています。