滋賀は数年前からちょこちょこ出かけるようになり、
知らず知らずのうちにその魅力に取り付かれていった。

福井から近県へ出かけるには、いくつかのチョイスがあるが、
たつやにとってのベストは滋賀。
別に有名な観光地へ行く訳ではなく、名もない小さな街をぶらぶら。
それこそ行き当たりバッタリの旅が好きだ。
滋賀の田舎の風景は、たつやの世代以上にとって、
なぜか懐かしい風景に出会える確率が圧倒的に多いように思う。
子どもの頃、学校から帰り道に見た光景が、
そのままタイムスリップしたかのように、目の前に現れたりするのだ。
少しかがんで、小学生だった頃の身長くらいに目線を落とすと、
胸をギュっと締め付けられるような感覚になる。
あっ、この景色見たよ〜、この路地を曲がると神社への裏道だぁ・・・
と、小学生のたつやがつぶやくのが聞こえる。


民家の板塀、タイルの手洗い場、野菜を積んだ一輪車、
路地を流れる小川・・・
そのどれをとってもノスタルジックな絵葉書の世界のよう。


30年、40年前の風景そのままで、
福井にはなくなってしまった僕らの原風景があった。